耳の中は外側から「外耳」「中耳」「内耳」の3つに分かれています。
蝸牛はその中の内耳にある器官です。
聴覚をつかさどる器官で、音を聞いた時に得る振動を中枢神経に伝える
大切な役割があります。
蝸牛はリンパ液で満たされていますが、そのリンパ液が増え、水腫が
できることで神経が圧迫されて音の信号が歪み、低音の音波はこもり、
高音は突き抜けて不快に感じます。
水腫ができる根本的な原因はまだわかっていませんが、疲れやストレス、
睡眠不足などにより自律神経機能が低下することが、発症のきっかけに
なると考えられています。
蝸牛型メニエール病の症状
メニエール病と違ってめまいがないことが特徴的ですが、めまい以外の
症状はメニエール病と同じです。
このため蝸牛型メニエール病は、メニエール病の前段階とも考えられており
20~30%はメニエール病に移行するともいわれています。
蝸牛型メニエール病の症状には、低音域が聞き取りにくい低音難聴や
キーンとした高音の耳鳴り、耳閉塞感があります。
最初は症状が軽い場合でも再発しやすく、治療せず放置しておくと
症状を繰り返すうちに高度の難聴になったり、激しいめまいや吐き気が
出ることがあります。
蝸牛型メニエール病は早期治療で完治が可能ですが、メニエール病に移行してしまうと
治療も長期にわたることもあり、完治が難しいこともあります。
このため早い段階での治療が大切になってきます。
治療法は?何科に通うべき?
突然の耳鳴りや難聴などの症状が現れたら、早い段階で耳鼻科を受診することが
大切です。
純音聴力検査や、リンパ液がたまっているかを確認するためのグリセロールテストや
蝸電図を用いて診断を行います。
治療は外界の刺激を避け安静にし、内服薬を用いての治療になります。
また、疲れているときやストレスが溜まっている時に発作が起こりやすいとも
言われており、生活習慣の改善やストレスケアも大切になってきます。
蝸牛型メニエール病で処方される薬の効果と副作用
よく処方されるのはイソバイド(イソソルビド)で、これは内リンパ水腫を
軽減させる作用のある利尿剤です。
副作用には嘔気・悪心・下痢・嘔吐などがあります。
他には内耳の血液循環改善薬やステロイド剤も用いられます。
ストレスなど、必要によっては精神安定剤なども使われることもあります。
柴苓湯も治療によく用いられており、イソバイド(イソソルビド)と同等の
有効性があると考えられています。
副作用には胃の不快感や食欲不振、吐き気などが現れることがあります。