夕方になると足がパンパンに腫れて靴がきつくなったり、
だるさや、歩きにくさなどの不快感を感じたことがある方は
たくさんいらっしゃるのではないでしょうか?
 
このような状態をむくみ(医学的には浮腫)と言います。
 
これは、長時間立ち続けていたり、同じ姿勢を続けることでも起こります。

むくみはどの人にも起こりうるものですが、その中でも今回は
高齢者の方のむくみについて考えていきたいと思います。

高齢になると、年を重ねていく中で身体に変化が起こり、
体を動かしにくくなったり足腰が弱くなり、車いすや寝たきりでの
生活をしている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そのような状態では体を思うように動かすことができず、運動不足に
なりがちです。

この状態が続くと、心臓から送られてきた血液を心臓に送り返す働きが
弱まり、全身の血流が悪くなり足もむくみやすくなってしまいます。

 

足がむくむ仕組みについて

体の中を流れる血液は、動脈から細胞へ水分を供給しています。
それと同時に細胞内でいらなくなった水分は、細胞から静脈やリンパ管へ戻り
再び体内を回ります。

そのリンパ管へ戻るべき水分が戻れず、血管の外へたまって水分が過剰になった
状態がむくみです。

長時間立っている状態でむくむのは、立っていると重力の影響で足に血液がたまり、
その増えた血液のせいで血管内の圧が高くなり、戻ろうとしている水分を
押し返してしまうため、戻れない水分が血管の外にたまってしまうからです。

 

高齢者のむくみの原因6つとは?

むくみの原因はいろいろありますが、高齢者のむくみの原因は
以下の6つが挙げられます。

1.血液の循環の低下

心臓病や加齢などで心臓が弱まると、血液循環を行う心臓のポンプの働きが
不十分になり、足の血管から心臓への血液が戻りにくくなります。

このため、足に血液がたまり血管の圧が高くなることで、むくみが
起こりやすくなります。

2.足の筋肉の低下

足は第2の心臓と言われており、下半身の血液を心臓へ送り返すポンプの
役割を果たしています。

しかし運動不足や筋力の低下により、このポンプとしての機能も低下して
しまうことで、血液の戻りが悪くなるから
です。

3.皮膚の張りが弱い

加齢により皮膚に張りがなくなると、水分をうまく血管の中へ押し戻せないため
むくみの原因となります。

4.病気のサイン

血流が悪いために起こるむくみは、寝て起きると改善していることが多いですが、
一日中症状が変わらなかったり、他の部分もむくんでいる場合は、病気のサインとして
考えられます。

その場合は他にも症状があることが多いので、他の症状についても
一緒に調べていきたいと思います。

・腎臓の病気                            
腎臓の機能が低下すると、体の水分のバランスが崩れ、
むくみが起こりことがあります。

この場合は足の他に、顔やまぶたのむくみも出ることが多いようです。

他にも血圧が上がったり、尿が濁ったり、血尿が出たりすることも
あります。

・心不全や心臓弁膜症など
心臓の機能が低下し、全身にうまく血液が運べなくなる状態です。
足以外に顔や手足がむくんだり、動悸、息切れ、胸部の痛みや違和感、
息苦しさなどの症状も現れます。

・肝硬変など肝臓の病気
足以外にも下半身全体や全身などにむくみが出ます。
他にも黄疸、体のだるさなどの症状も見られます。

肝臓は「沈黙の臓器」と言われる位、自覚症状があまり出ないので、
肝機能など心配なことがあれば、すぐに受診した方が良いでしょう。

・甲状腺機能低下症
甲状腺の機能が低下する病気で、手足のむくみ、全身のだるさ、
疲れやすさ、無気力、話し方がゆっくり、体重の増加などの症状がありす。

・下肢静脈瘤
足のむくみ、足の血管が浮き出て見える、ふくらはぎがだるい、
足のむずむず感・不快感・足の色素沈着などの症状があります。

5.薬の副作用

降圧剤、糖尿病の薬、消炎鎮痛剤、ホルモン剤、ステロイド、甘草を含む
漢方薬などの副作用で、むくみが現れる場合があります。

高齢者の方はたくさんのお薬を飲まれている方も多いので、こちらも念頭に
入れておくと良いのではないでしょうか。

6.からだの冷え

からだが冷えることで血液の循環も悪くなり、むくみが起きることもあります。

 

高齢者の足のむくみ対策7つ

足のむくみが出た場合、以下の7つの対策を試してみましょう。

1.歩く・足を動かす

歩くことで心臓のポンプ機能が向上します。筋肉を動かすことで
ポンプの役割を果たし、血液の循環を促してくれます。

足の不自由な方は、つま先の上げ下ろしだけでも効果があります。
また、寝たきりで自力で動かせない場合は、介護の方が足の上げ下ろしや
足首回しなどの運動をしたり、可能であれば座るだけでも効果があるようです。

また、足が心臓の高さになるように、足の下に丸めたバスタオルを置くなど
少し高さを付けてみるのも良いでしょう。

他にも、椅子に座ったまま足の裏を床に着けて、つま先を上下に動かしたり、
長時間椅子に座る場合は、足の裏を床に着けた状態でいられるように
椅子の高さを調節するなども効果があります。

2.横になる

横になることで足の血液を心臓に戻してあげるのが良いです。
横になるのが難しい時は座ったり、足を上げた状態にするだけでも
効果があります。

椅子に座っている時に、スツールなどに足をかけてまっすぐにして
みるのも良いでしょう。

3.着圧の靴下やストッキングなどを使用する

着圧靴下や、弾性ストッキング、伸縮性のある包帯を巻くことで
皮膚の緊張感を高めるのも効果的です。

この場合はむくんでしまったあとに着用しても効果が少ないので、
足がむくむ前、朝などに着用するとよいでしょう。

もし足がむくんでから着用する場合は、足をあげるなどして
短時間でもむくみを解消させてから履くのがよいでしょう。

着用の時は、しわなどは皮膚や血管、神経への圧迫の原因になるので、
しわができたり、丸まらないように着用することが大切です。

色々な圧や種類の靴下やストッキングがあるので、自分にあった物を
探すと良いでしょう。

また、病気が原因の場合は、かかりつけ医に着用について相談してからに
しましょう。

4.食生活の見直し

水分や塩分のとり過ぎも、むくみを悪化させるので気を付けましょう。

5.むくみに効くツボ

・湧泉(ゆうせん)
足のむくみや、筋肉疲労の改善に効くツボです。
足の指全て曲げてくぼんだ部分、足裏の中指の下辺りです。

手の親指で、少し強めに3秒押して離して3秒待つ動作を
湧泉が温かくなるまで、左右とも5回くらい繰り返します。

・足心(そくしん)
足の裏の中央にあるツボです。腎臓の機能を活発にする効果があり、
むくみの解消にもつながります。

痛みを感じる程度まで強めに押して、ゆっくり離す動作を
左右とも10回程繰り返して刺激します。

・水泉(すいせん)
足の内側のくるぶしの斜め下で、くるぶしとかかとのちょうど間にあるツボです。
体内の水分代謝を助ける働きがあります

親指で軽くもみほぐして1分程押し続け、ゆっくり離す動作を5回くらい続けます。

6.体を温める

冷えの改善として、足浴は体全体を温めて、血流の改善に役立ちます。
また、体を温める食べ物(生姜・ニンニク・根菜類など)を選ぶようにしたり、
薄着をしないように気をつけましょう。

7.むくみをとる漢方薬

・五苓散(ごれいさん)
利尿作用があり、体質に関係なく利用できるようです。

・八味地黄丸(はちみぢおうがん)
冷えに効く漢方として有名です。体力が衰えている人向きなので、
体力があり、暑がりやのぼせやすい人には不向きです。

胃腸が弱い人も慎重に使用した方が良いです。

・牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)
腎臓の働きを助け血行を良くする効果があります。

他にもむくみに効く漢方は細かい症状によってあるようなので、
漢方医に相談するのも良いのではないでしょうか。

 
このように、高齢者の足がむくんだ場合、原因が血液の循環の問題であれば、
循環が良くなるように自分にあった対策を見つけて、試していくのが良いでしょう。

ただ、むくみの原因に病気の可能性が考えられる場合は、早めに受診した方が
良いでしょう。

腎臓、心臓、肝臓はまず内科に受診し、必要であれば専門外来で診てもらう
良いのではないでしょうか。

甲状腺の場合は、甲状腺科や内分泌科もありますが、近くにない場合や、
症状がはっきりわからない場合は、まず内科で見てもらうのが良いでしょう。

下肢静脈瘤は専門外来が近くにあればそちらを受診するか、なければまずは
外科か皮膚科を受診しましょう。